本展は、「日本美を守り伝える『紡ぐプロジェクト』―皇室の至宝・国宝プロジェクト―」の一環として開催するもので、文化庁、東京国立博物館、さらには宮内庁三の丸尚蔵館の協力を得て、各館が所蔵する日本美術の名品を選りすぐり紹介するものです。狩野永徳作で、皇室ゆかりの名品である「唐獅子図屛風」と、永徳最晩年の名品で国宝の「檜図屛風」を、会期前半と後半に分けてそれぞれ公開するのに加えて、雪舟、尾形光琳、葛飾北斎らの名品が、一堂に会する展覧会です。

主な作品① 宮内庁三の丸尚蔵館所蔵の名品

唐獅子図屛風(左隻)
唐獅子図屛風(右隻)

※5月3日(金・祝)~19日(日)展示

「唐獅子図屛風」
六曲一双 右隻:狩野永徳筆 安土桃山時代・16世紀/左隻:狩野常信筆 江戸時代・17世紀 

狩野永徳(1543-90)は、安土桃山時代に活躍した狩野派の代表的な絵師で、その勇壮な画風は日本美術史の中でも特筆されます。その代表的な傑作である「唐獅子図屛風」は、もとは城内の床貼付け、あるいは陣屋屛風とも言われる特に大型の作品です。江戸時代に曾孫にあたる常信が左側に同大の画面を補って、一双の屛風として伝えられました。両者の全く異なる画風も興味深いところです。

主な作品② 東京国立博物館所蔵の名品

檜図屛風(左隻)
檜図屛風(右隻)

※5月21日(火)~6月2日(日)展示

国宝「檜図屛風」
狩野永徳筆 四曲一双 安土桃山時代・天正18年(1590)

狩野永徳の最晩年の作で、桃山時代の金碧障屏画の一つ。天正17年(1589)に念願の実子・鶴松(棄丸)を得た豊臣秀吉は、その翌年に猶子としていた正親町天皇の孫・智仁親王との関係を解消し、かわりに八条宮家を創設して御殿を造営させました。その御殿のために狩野永徳一門が描いた障壁画の一部分が、この檜図です。現在は屏風に改装されていますが、「大蛇が奔るが如き」と評された永徳の力強い表現は失われていません。八条宮家の後身である旧桂宮家に伝えられた後、宮内省に引き継がれ、大正時代に帝室博物館(現東京国立博物館)に移管された作品です。

主な作品③ 東京国立博物館所蔵の名品

国宝「秋冬山水図」
雪舟等楊筆 二幅 室町時代・15世紀末~16世紀初

本作品は、落葉した木のある手前の岸から、ジグザグの山道を経て、遠くの楼閣を見晴るかす秋景と、切り立った巨大な崖のもと、雪深い山間の道を踏み分けていく一人の旅人を描く冬景からなります。本図では、近くから遠くへと岩山を配置することで、奥深い空間が表現されており、雪舟以前の日本の水墨山水画には見られなかった構築性が明確に示されています。

秋冬山水図

※通期展示

主な作品④ 文化庁所蔵の名品

花鳥遊魚図巻

※通期展示

重要美術品「花鳥遊魚図巻」
長澤芦雪筆 一巻 江戸時代・18世紀

長澤芦雪は、江戸中期に活躍し、円山応挙の弟子として知られます。曽我蕭白や伊藤若冲とともに「奇想の画家」として位置づけられ、高い評価を得ています。本作は、身近な動植物を巧みな筆致で描き出した画巻です。その詩情豊かな描写は、近世花鳥画巻の中でも屈指の出来栄えと言えるでしょう。

主な作品⑤ 宮内庁三の丸尚蔵館所蔵の名品

「更級日記」
藤原定家筆 一帖 鎌倉時代・13世紀

平安時代中流貴族の一女性、藤原孝標の娘による回想記で、『源氏物語』が書かれて評判になった少女時代から、夫に先立たれた晩年までが記されています。現在写本の祖本として、また藤原定家(1162-1241)の作品として、よく知られています。

更級日記

※5月3日(金・祝)~19日(日)展示

主な作品⑥ 文化庁所蔵の名品

重要文化財「色絵若松図茶壺」
仁清作 一口 江戸時代・17世紀

仁清は丹波(現兵庫県の一部)出身で、京焼の大成者として名高い陶工です。この茶壺は仁清黒とよばれる光沢のある黒釉が掛けられており、土肌の部分を土坡に見立てて、金で山並みを表し、赤、緑と金銀を用いた若松、椿などの図がリズミカルに配置されています。讃岐国(現香川県)丸亀藩主京極家に伝来しました。

色絵若松図茶壺

※通期展示